道新連載⑧

北海道新聞連載記事です。
北海道新聞 平成22年8月12日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ⑧「収穫日和」
 6月の好天とはうって変わり、曇り空が続いた7月でしたが、野菜たちはすくすく育ち、収穫する作物が増え、畑へ行くのが楽しみな季節になりました。
 僕の畑では、ズッキーニの収穫が最盛期です。ズッキーニは有機菜園を始めた時から欠かせない野菜です。その理由は、おいしくて低カロリー。おまけに、焼く、揚げる、煮る、漬けるなど、和食、洋食どちらの料理にも合う万能野菜だからです。
 今年は、少しでも早く収穫したいと思い、4月には苗作りを始めたのですが、結局、苗を定植したものも、種を直まきして育てたものも、どちらもさほど変わらずに育っています。ウリ科野菜は直まきで元気で丈夫に育ちますね。
 ズッキーニの苗の根の周りには、ワラが敷かれていて、生えてきた雑草も刈り取りながら敷きこむ「草マルチ」のベッドで栽培します。草マルチには、乾燥や泥ハネ、実が痛むのを防ぐ役割があります。
 気温の低い北海道では、春先、地温を上げるためにビニールで土を覆う「マルチング」が常識となっていますが、僕は、農薬や化学肥料を使わない自然農園で、化学素材を使うことに抵抗があり、草マルチを続けています。これは僕の仕事の影響でもあります。自然素材にこだわった、「化学物質を使用せずに有機野菜のような家」をデザインすることが、僕の仕事なのです。
 さて、いま収穫しているズッキーニは、味が自慢でしましま模様が特徴のイタリア伝統の品種と、日本でもおなじみの濃い緑色の品種の2つです。
 霜が降りるころまで収穫は続きますが、その中から、元気に育つ大きな実を一つ選び、完熟し、硬くなるまで残しておいて、秋になったら自家採種します。これが、来年用の種になります。
 またこの時期は、ユリ科の野菜のタネ球を収穫する季節でもあります。農作業は月の満ち欠けと関係が深く、満月の前後1週間ほどが、保存用の根菜類の収穫に適していて、すぐに食べる根菜類の収穫は、新月の前後1週間ほどが適していると言う説があります。
7月は、26日が満月でした。 僕もこの時期に合わせて、ニンニクと、島ラッキョウを収穫しました。また、アサツキやワケギのタネ球も一緒に掘りあげて、9月の植え込みまでしばらく保存します。
 とは言え、雨が続くと、収穫の時期にも影響するので、暦どおりにはいきません。自然はこちらの都合に合わせてはくれませんが、「月をながめた畑仕事」をしていると、地球や自然が身近に感じられ、大地とつながったような心地よさを感じます。
 札幌・丘珠にある僕たちの有機農園の仲間たちが作った有機野菜の一部は、平日午前10時半~午後3時、「㈱HAVE札幌市場」(札幌市東区北34東21)で販売しています。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
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10株植えたズッキーニを収穫。
混植したトウモロコシは種まきが遅すぎて生育不良。
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収穫した2種のズッキーニと
ニンニク、ラッキョウ。