道新連載⑩
北海道新聞連載記事です。
北海道新聞 平成22年9月9日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ⑩「虫から野菜守る」
気がつけばもう秋です、今シーズンの畑仕事も終盤にさしかかってきました。
僕の畑では、例年はお盆を過ぎて涼しくなると、夏バテ気味の野菜たちが元気を取り戻すはずなのに、今年は元気がありません。今までにない暑さと湿度の影響なのでしょうか、畑の環境も変わったような気がします。特に困ったのは、早朝の収穫時に、執拗に蚊の襲来を受けたことでした。
そんな時、僕が使っているのは、手作りの虫よけハーブスプレーです。釣りやアウトドアに20年来使い続けているのですが、無添加で安心、効果も抜群でおすすめです。作り方はとても簡単で、植物性のエチルアルコール1に対して清水2くらいの割合で溶液を作り、好みのハーブの精油を加えるだけです。精油の量は適当なのですが、スプレーして肌で香りを感じるくらいが目安でしょうか。
僕のお気に入りはハッカ、ラベンダー、モミなどを加えたオリジナルブレンド。市販の小さなスプレー容器に入れて畑の道具箱に入れておきます。野菜に農薬をかけないのですから、体にも化学薬品をかけたくありません。
畑の虫といえば、僕たちの有機農園では、イネ科のソルゴーやエンバク、マメ科のヘアリーベッチ、キク科のヒマワリなど虫のすみかになる植物を、畑の境に植えています。「バンカープランツ」(天敵温存植物)といわれ、野菜を守るための植物で、意図的に昆虫たちが集まってくるような仕組みをつくります。害虫を食べてくれる益虫たちが多いせいなのでしょうか、僕の畑では、アブラムシの姿をめったに見ることがありません。逆にアブラムシを食べてくれるテントウムシを見かけると、なんだかうれしくなります。
これらの背の高い植物は、障壁として、近所の畑から飛んでくる農薬を防ぐ「ガードプランツ」(障壁植物)としても役立つことで知られています。また、僕たちの有機農園がある札幌市東区丘珠の〝名物〟である風をよけるのにも役立ってくれているようです。
僕は、障壁として植えたヒマワリやトウモロコシは刈り取らずにそのまま残して、翌年、マメ科やウリ科のつる性植物などの添え木代わりに利用しています。そして、バンカープランツとして植え、役目が終わった植物は、緑肥やマルチ材として利用します。住宅地の菜園でも、このような背丈の高い植物たちを簡単にできるナチュラルな塀としてデザインし、植えてみるといいでしょう。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
隣地との境界上に並ぶ背丈まで成長したソルゴーの障壁。右側が収穫の進む有機農園=9月初旬
畑の境に昨年植えたヒマワリの茎を刈らずに残して、今年はエンドウやツルムラサキの支柱に利用しました。
=5月初旬の種まき